近年、『アトピー性皮膚炎』に悩む患者さんの人数は、以前に比べとても多く、その重症化も大きな問題となっています。
アトピー性皮膚炎の原因はまだ解明されていないこともありますが、活性酸素とSOD研究の世界的権威、医学博士 丹羽耕三(靭負)先生は、『アトピー性皮膚炎の主因は活性酸素にある』と長年主張していらっしゃいます。
現在はアトピー性皮膚炎の治療方法について多くの医師が研究し、自分にあった治療方法を選択できる環境にあります。
『丹羽療法』もその一つとして、丹羽先生のご説明を参考にご紹介させて頂きます。
活性酸素が健康や美容に大きくかかわりをもつ物質である事はすでにご存じの方も多いと思います。呼吸や食事などから発生する活性酸素は、私たちの体を守る「防御作用」であると同時に、現代社会の様々な要因から必要以上に作り出されてしまう活性酸素により、健康や美容に悪影響を及ぼすことが問題となっています。
現代の重症化したアトピー性皮膚炎の主因も増えすぎた『活性酸素』にあるということなのです。
活性酸素+脂質=過酸化脂質
活性酸素はとても活発でどんな物質とでもくっついてしまう性質をもっています。
この公式は活性酸素が体内で脂質と反応し過酸化脂質を作り出すことをあらわしていますが、丹羽先生はこの「過酸化脂質」こそがやっかいな物質だといいます。
したがって、生体に実際に害を及ぼすのは、『活性酸素』そのものというよりは『過酸化脂質』のほうであろうと考えられるのです。
『活性酸素』と『脂質』の組み合わせは、最悪のコンビといえます。
ここで丹羽先生が説明する『脂質』ですが、一般的に油・脂肪などや、体内のコレステロール、中性脂肪、食品や化粧品に含まれる“あぶら”類のことで、この悪玉過酸化脂質の原料となる脂質は、正確には二重三重の結合をもった不飽和脂肪酸ということになります。
活性酸素が発生する要因については「現代病90%は活性酸素に原因がある」で記述しましたが、私たちの生活環境そのものが主な要因であるためどう回避するかが大変難しい問題ですが、脂質についてはある程度コントロールができそうです。
アトピー性皮膚炎の特徴のひとつには乾燥肌があります。これは、皮膚表面の角質層の保湿機能が正常な人と比べて体質的に低下していることが原因です。
私たちの皮膚は皮膚の最上層に角質層があって、この角質層が皮膚の水分を外へ逃がさない仕組みになっているのですが、アトピー体質の人の皮膚はこの角質層の保湿機能が弱く、皮膚の水分を十分に保つことができません。
アトピー性皮膚炎の人はなぜ乾燥肌なんでしょうか?丹羽先生はこう説明しています。
これは、活性酸素という刺激のある物質がアトピー患者の脂と結合して作る酸化した脂です。
「過酸化脂質」はアトピーの皮膚の角層に付着し内部に浸透していきます。「過酸化脂質」は代謝過程でアルデヒド基という物質を発生して角層の保湿機能を奪っていくのです。アトピー性皮膚炎の患者さんは、もともと保湿機能が低下しているのですが、それに加えて過酸化脂質が浸透していくために、さらに保湿機能が奪われていき乾燥肌になっていきます。
過酸化脂質による肌の乾燥は、年齢肌にも大きく関わっています。活性酸素と脂質によって作られる「過酸化脂質」は年齢によって積み重なっていくからです。長い時間「過酸化脂質」の浸透によって、少しずつ乾燥肌がすすんでいくことで、乾燥による肌の悩みにつながっていくのですね。
過酸化脂質がとても厄介なことがわかりました。過酸化脂質を増やさないためには、活性酸素を必要以上に増やさないこと、また食事から摂取する脂質に注意することが大切です。
活性酸素を具体的に消去するには、自分自身の体の中で作り出すものも含めて、抗酸化力(活性酸素を消去する力)と抗酸化剤(SODなどの高分子や低分子の抗酸化剤)を上手に使うことが重要です。
丹羽先生は、体内で異常に発生した「活性酸素」を、食べることで抑制できる天然の抗酸化剤を開発し、アトピー性皮膚炎をはじめ、活性酸素が関わる多くの病気の治療に使用し、大きな治療効果を上げています。